兵庫県南西部では、播州秋祭りと呼ばれる秋季例大祭が各地の神社で開催されます。
姫路市よりも西の地域で特に盛んなのですが、姫路市の東隣りにある高砂市内の神社でも開催されています。
そこで、生まれも育ちも兵庫県、生粋の兵庫県民であるそらりんママが、2023年の曽根天満宮の秋祭りに向けて昨年参加したときの様子をお伝えします。
曽根天満宮の秋祭りは、反り屋根布団屋台が特徴ですが、屋台(ヤッサ)だけではなく、兵庫県重要無形民俗文化財にも指定されている、「一ツ物神事」も有名です。
前回の記事では、各町の屋台を紹介したので、全体が少し長くなってしまいました。
今回は「一ツ物神事」や「馬かけ」など屋台(ヤッサ)以外の見どころについて紹介させていただきます。
前回の記事をまだ読まれていない方は、屋台(ヤッサ)を中心に紹介したものなので、ぜひこちらも目を通してみてくださいね。
では、曽根天満宮の秋祭りの屋台(ヤッサ)以外のみどころを見ていきましょう。
Contents
曽根天満宮の秋祭りには「一ツ物神事」という無形文化財がある!!
曽根天満宮で開催される秋祭り「秋季例大祭」は毎年10月13日、14日の2日間で開催されます。
13日の1日目を「宵宮」、14日の2日目「本宮」と呼ばれ、2023年の「宵宮」は2023年10月13日(金)で週末にあたるためににぎわいをみせそうです。
そんな曽根天満宮の秋祭りですが、屋台(ヤッサ)以外にも「一ツ物神事」というものが有名です。
でも、名前を聞いただけでは、どのようなものかわかりませんよね。
そこで、そらりんママが目や耳にした情報をまとめましたのでご紹介します。
曽根天満宮の秋祭りで目や耳にする「一ツ物神事」とは!?
曽根天満宮の秋祭りで行われる「一ツ物神事」は兵庫県の指定重要無形民俗文化財に指定されています。
大きな屋台(ヤッサ)が注目されがちですが、曽根天満宮の秋祭りでは「一ツ物神事」が最も重要な神事として位置づけられています。
「一ツ物」の言葉の由来は定かではないのですが、「万一の事故があっても他に変わることのできない唯一のもの」という意味だと思われています。
毎年、曽根、伊保、東西阿弥陀の4町から5歳、6歳頃の男の子が選ばれ大役をつとめます。
青や赤、黄の裾が長い狩衣を着て、山鳥の羽を立てた花笠を被り、中啓と呼ばれる扇を持ち、額に父親が「八」の字を書き、宵宮では肩車で、本宮では馬に乗って宮入りします。
「一ツ物」が馬に乗ったり、肩車をされたりという形で宮入する理由は、神の分身として地面に足をつけないように大切に扱われるからです。
曽根天満宮のサイトにも「一ツ物神事」について書かれている記事があり、神の意志を受け取るものという意味合いがあるからです。
祭りの基本は、神々をお迎えして神饌をお供えし、神と人が饗宴を共にしたのち再びお送りするという形式をもっていた。
その中で一ツ物は目に見えない神様の姿を具現化しており、祭りの期間中一ツ物頭人には神様が憑依し、その子供が無意識に発する言葉を神の意志として受け取っていたようである。
引用:曽根天満宮 一ツ物神事より
「一ツ物神事」先導役の青竹は「竹割」と呼ばれ親しまれている
「一ツ物神事」について説明しましたが、曽根、伊保、東西阿弥陀が神社へ向かう列に少し特徴があります。
まず、青竹が進み、その後ろに「一ツ物」、さらにその後ろに御幣、尾花、傘、刀などが列をつくります。
その青竹ですが、役割が2つあります。「一ツ物」がここにいるよという目印、もう1つは露払い役です。
長さ10メートルほどある青竹に綱をくくり、道中で立て、地搗歌を歌いながら地面に打ち付けて曽根天満宮まで進みます。
そして、「一ツ物」が宮出しする前に境内で青竹をたたき割り、それをさらに綱でくくり、それぞれの地区へ帰っていきます。
「ヨーイヤサ、ヨーイヤサ」と勢いよくたたきつける姿は迫力満点なので、一見の価値ありです。
最後には青竹は粉々になり、その役目を終えます。
曽根天満宮の秋祭り2023年の「一ツ物神事」宮入順
いろいろとお話してきた「一ツ物神事」も、屋台(ヤッサ)が宮入する順番と同様に毎年変更になります。
東西阿弥陀は毎年なのですが、曽根、伊保は地区が複数に分かれているため、輪番制で「一ツ物」が選ばれています。
2023年の曽根地区は「曽根西之町」、伊保地区は「伊保中部」となっています。
2023年宵宮(13日)、本宮(14日)の宮入順を紹介させていただきます。
- 阿弥陀東
- 阿弥陀西
- 伊保中部
- 曽根西之町
- 曽根西之町
- 伊保中部
- 阿弥陀東
- 阿弥陀西
屋台(ヤッサ)の宮入順は13日、14日で順番が逆になると前回の記事でご紹介したのですが、「一ツ物神事」は少し違うようですね。
前回の記事をまだ読まれていない場合は、こちらから読みことができますよ
曽根天満宮の秋祭りのその他の見どころは!?
曽根天満宮の秋祭りの大きなみどころは、「屋台(ヤッサ)」「一ツ物神事」と大きく2つをご紹介しました。
それ以外にも、いろいろな神事などを行っているのでご紹介させていただきます。
頭人巡行・馬かけ
馬がビックリしないように太鼓の音などが止まるので、境内は少しの静けさがおとずれます。
準備ができれば曽根天満宮の宮司と「一ツ物」が馬に乗り、曽根天満宮の中を1周します。
その後、宮司と「一ツ物」は馬から降り、馬と「一ツ物神事」を担当する地区の若い衆が一緒に境内の中を2周します。
「ヨーイヤサ」と声を出しながら勢いよく走っていくのですが、境内2周は結構な距離です。
2周目になると勢いが落ちた人がところどころ発生しているのはナイショ話です(笑)
流鏑馬神事(中筋西)
馬かけが終わると、次に中筋西の流鏑馬神事が始まります。
馬に乗って社務所を出発し、西門を出て、南の鳥居、正門前、本殿前の手前まで進んで行きます。
本殿前で邪気払いと言われ、東西の屋根に矢が放たれます。その後御幣が奉納されます。
流鏑馬と言えば、馬で走りながら的を射抜くイメージではないでしょうか。
さすがに混雑している秋祭りに馬で走り、さらに的を射抜くことは不可能ですよね…。
奉納相撲神事(梅井)
毎年梅井地区が奉納相撲神事を担当しています。
太鼓門と正門前の間、少し南側にある砂地の場所が神事を行う場所です。
屋台(ヤッサ)を担ぐときは、腕抜きと呼ばれる短いハッピを着ていますが、奉納相撲のときは脱ぎマワシ姿だけになります。
相撲取りのような大柄ではなく、いまどきの若い衆が連中を代表して相撲を執り行います。
砂埃が舞っているので、近くだと砂をかぶってしまいそうなので、注意が必要です。
和供神事
大人屋台(ヤッサ)が3台宮入すると、和供神事が行われます。
和供とよばれるお供え物を神饌所から本殿へ移す行事です。
宮入りした大人屋台から数人、曽根天満宮氏子、宮司などが和供を渡していきます。
お面掛神事
お面掛け神事は、阿弥陀の新村である北山・長尾・北池・南池が輪番で担当する行事です。
六升の重ね餅が2台、御神酒が2升が供えられ、翁舞・仕舞が奉納されます。
2023年も10月14日(土)午前11時に本殿にて執り行われる予定です。
2020年、2021年と屋台(ヤッサ)の宮出しなどは中止されていましたが、和供神事、お面掛け神事などは人数を最小限に絞って実施されました。
それほど曽根天満宮にとって大切な神事ということがよくわかります。
まとめ
- 曽根天満宮の秋祭りは、反り屋根布団屋台が特徴ですが、屋台(ヤッサ)だけではなく、兵庫県重要無形民俗文化財にも指定されている、「一ツ物神事」も有名
- 「一ツ物」とは毎年、曽根、伊保、東西阿弥陀の4町から5歳、6歳頃の男の子のことで、神の分身として大切に扱われる。
- 「一ツ物」が馬に乗ったり、肩車をされたりという形で宮入する理由は、地面に足をつけないため
- 「一ツ物」を先導する青竹は長さ10メートルほどあり、道中で立て、地搗歌を歌いながら地面に打ち付けて曽根天満宮まで進みます。
- 「一ツ物」を先導する青竹には露払い役もあり、「ヨーイヤサ、ヨーイヤサ」と青竹を勢いよくたたきつける姿は迫力満点
- 2023年の「一ツ物神事」は、曽根地区から「曽根西之町」、伊保地区から「伊保中部」と毎年選ばれる「阿弥陀東」、「阿弥陀西」となっている(14日の宮入順)
- 2020年、2021年と屋台(ヤッサ)の宮出しなどは中止されたが、和供神事、お面掛け神事などは人数を最小限に絞って実施された
曽根天満宮の秋祭りは、屋台(ヤッサ)だけがみどころではなく、流鏑馬や奉納相撲神事を含めたいろいろな神事があります。
屋台(ヤッサ)に注目しがちですが、今年は趣向を変えて他の行事にも着目してみてはいかがですか。
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